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2026.02.18若女将のぽそぽそ話し…

4年経って思うこと

4年経って思うこと

イタリアから帰国して、あっという間に4年が経ちました。

旅館仕事にも少しずつ慣れ、お客様とのご縁も広がり、ようやく「むさし野」という宿に自分自身が馴染んできたように感じています。

お客様から温かいお言葉をいただくたびに、感謝の気持ちで胸がいっぱいになります。
その一方で、老舗という看板を背負うことへの「期待」と「不安」は、いつも背中合わせにあります。

当館が積み重ねてきた歴史は、私にとって大きな誇りです。
しかし同時に、時として高い壁のように感じることもあります。

長年ご愛顧くださる常連様からの「昔のままが一番」というお言葉。
代々受け継がれてきたおもてなしの所作やしきたり。
「変えてはいけないもの」を守り続けることの重みを、日々実感しています。

その一方で、時代に合わせた新しい取り組みにも挑戦したいと思っています。

例えば、SNSでの発信やデジタル予約システムの導入、現代のライフスタイルに寄り添った過ごし方のご提案など。
けれど新しい一歩を踏み出そうとすると、「老舗らしさが薄れてしまうのではないか」という葛藤が生まれます。

スタッフとの意識の共有、先代とのすり合わせ。
簡単ではない現実に、立ち止まってしまうこともあります。

そして何より、「理想の女将像」と「ありのままの自分」との間で揺れることもあります。

凛としていて、すべてを包み込むような女将。
そんな姿に憧れながらも、失敗して落ち込んだり、慣れない業務に戸惑ったり。
夜、着物を畳みながら「私はこの宿にふさわしい存在になれているだろうか」と自問する日もあります。

それでも前を向けるのは、
お客様の「ありがとう、また来るね」という笑顔があるからです。

伝統とは、形を守ることだけではなく、
その時代ごとのお客様にとっての「最高のおもてなし」を積み重ねていくこと。

最近、ようやくそう思えるようになりました。

 

背伸びをしすぎず、まずは私にできる精一杯のおもてなしを。
不器用ながらも、この宿の新しい歴史を一歩ずつ刻んでいけたらと思っています。

まだ道の途中にいる私ですが、その歩みをそっと応援して頂けたら嬉しいです。