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2026.03.23若女将のぽそぽそ話し…

皆様へのお願い

皆様へのお願い

皆さま、こんにちは。
古都奈良の山々がやわらかな若草色に染まり、光がやさしく鹿たちの背をなでる季節となりました。

当館の前には、皆のアイドル鹿「小豆(あずき)」が今日も顔を見せてくれます。
その小さな瞳に見つめられると、不思議と心がほどけ、日々の忙しさを忘れてしまいます。そんな小豆を見守る日々の中、もうすぐ奈良に新しい命が芽吹く季節が訪れることに気付きます。

5月の終わりから6月にかけては、奈良公園では子鹿たちが次々と誕生する季節。
震える足で立ち上がろうとするその姿に、この地で続いてきた命の営みを感じます。  

けれど、その愛らしい光景の陰で、毎年とても悲しい出来事が起きています。

あまりの可愛らしさに、そっと手を伸ばしたくなるお気持ち。
私自身もよく分かります。
ですが、生まれたばかりの子鹿にとって、人の手のぬくもりは時に大きな影響を与えてしまうのです。

一度人の匂いがついてしまうと、お母さん鹿が自分の子を認識できなくなり、警戒して近づかなくなってしまうことがあります。
その結果、授乳ができず、小さな命が危険にさらされてしまうこともあるのです。

草むらでじっと身を潜めている子鹿や、一生懸命お母さんの後を追う姿を見かけた時は、どうかそっと距離を取り、静かに見守っていただけますと幸いです。

「触れない」という選択は、その子の未来を守るための、何よりも優しい行動だと私は思っています。

小豆の仲間たちが、お母さんの愛情をたっぷり受けながら、奈良の芝生を元気に駆け回る日々が続きますように。
皆さまのあたたかなご理解と優しいまなざしを、どうかお貸しくださいませ。

 

大和の国の穏やかな時間と、この愛おしい風景が、これからも変わらず続いていくことを願っております。